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2005.01.31

ちべものお蔵だしー田村茂写真集 チベット

frontラサに入った外国人の記録というとダライ・ラマ政権下では、日本人では江本嘉伸”西蔵漂泊”(上下)、西洋人ならホップカーク、"チベットの潜入者たち―ラサ一番乗りをめざして"があります。

ダライ・ラマ政権の終焉近くにラサにいた外国人は、日本人では西川一三、木村肥佐生両先生、西洋人ではおなじみのオーストリア人のハラー、オーフシュナイターに英国人のフォードがいたことが記録されていますが、彼らが退去したあとのチベット訪問は50年代半ば以降は中国政府の招待によるもの、そして80年代初頭の観光旅行解禁と続きます。

ここでは1949年以降、中華人民共和国成立後にチベット入りした記録を中心に。

田村 茂写真集 チベット

1966年発行。1965年にチベット自治区を訪問した際の写真集。

ちなみに、ダライ・ラマがインドに亡命したのは1959年。チベット自治区が成立したのは1965年。

この時代のチベット旅行について、胡海燕他”西蔵50年 旅游巻”(民族出版社、北京、2001年)をみると、

1954年 中国・インド間でチベット地方とインド間の通商交通協定が締結。これによりカイラス、マナサロワールへのインド人巡礼が認められ、当年は4万人近くが巡礼に(1961年に中断、81年に復活)

1959年 政府の許可があればチベット訪問が可能に。ただし記者や作家、国家重要人物に限られる。これにより同年8月、人民日報主催により11カ国17人の新聞記者、文化人がラサ、シガツェ、ツェタンを訪問
これが戦後初めての外国人のラサ入りになるんでしょう。

田村氏は1965年7ー8月に、人民日報の記者とともに、日本電波ニュース社記者、「赤旗」北京特派員の日本人3人に加えてオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、アルバニアの記者と訪問。行き先はラサ、ギャンツェ、ツェタン。
 
当時は、中国政府の招待でなければ中国には行けませんでした。(これ以外には、戦後直後あたりには日本共○産○○党運営の「人民艦隊」とかいう密航船が長崎からでてたらしいですが、調べた限りでは今は”なかったこと”にされているみたいです。)

招待されるのは、当然「友好人士」と言われる中国共産党シンパの方々で、この写真集も「ダライ・ラマの下での封建的圧制」と「中国共産党の下での近代化、民主改革でチベットの人たちは皆明るい希望をもって前進前進」で一貫してます。写真は本の中からの毛沢東の肖像を掲げるチベット農民。あわせて「解放後も宗教の自由は保障されている」んだとか。people

このあと、1966年5月から文化大革命が開始されることになります。宗教は否定され、寺院は破壊され、皆が皆を外国勢力のスパイではないか、反動勢力ではないかと疑う時代。大多数の中国人(それにチベット人も)があの頃には絶対に戻りたくないという時代が始まります。

そういう視点でみると、この写真集でもとりあえず寺院はまだ破壊されていないようですね。
ま、外国人に見せられるところはそうだった、ということでしょうけど。写真はここで撮影された当時のギャンツェのパンコル・チューデ。

88年に私が最初にギャンツェに行ったときには、ここも文革の破壊から必死に再建中だったっけ。これからの悲劇はここではうかがい知れないのは当然だけど、ただ、空の碧さだけは今と変わらなかったんだなぁと・・・。
gyantse


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2005.01.30

判っちゃいるけど、ヤメられねぇ

Bhutan king keeps on smoking despite kingdom's tabacco sales ban
この記事のサイトに飛びます(英語)。

昨年12月にブータンは禁煙政策を開始し、タバコの販売及び公共の場での喫煙を禁止しました。

しかし、現在インドを公式訪問中のワンチュック国王陛下は,インドの記者に対して、「タバコは吸い続けるが、本数は減らす」、「一日何本吸ってるかについては答えたくない」。「4人いる皇后のことを考えれば禁煙する方がいい」と述べた、そうです。

 記事の最後は「インドからどれだけのタバコを国に持ち帰るつもりなのかは明らかにしなかった」といささかイジワルな結び方になってます。

 私は、今年の正月休みではブータンに行きましたが、入国審査の税関で速攻「タバコ持ってないか」と聞かれ、ここで放棄するか、1カートン3000円位払うかどちらかを選択するよう言われました。ブータンではタバコを売っていることがばれると巨額の罰金に加え、店の営業ライセンス没収だそうで、事実上生活の道は絶たれるようです。
  
 現地の人に聞くと、「あれはアタマの古い国民議会のじいさん連中が、仏教ではタバコ吸わないことになっているだの欧米では健康のために禁煙を進めているだのの話を聞きかじって、何も考えもなく決めたもの。しかし、国王陛下は現在、国民議会への権力委譲を進めており、議会がそう決めたなら従わざるを得ないとお考えである」とのことでしたけど。
 ま、この話をしてくれた人は、それまでタバコ吸ってたそうで、ツマラねぇこと決めやがって、という恨み言+ニコチン切れのイライラもあったんでしょうけど。
 国王陛下も外国でつい気が緩んで本音が出たってところかな。
 
 CIMG0037私は3泊4日の滞在でしたが、カバンの底に残っていた1箱を惜しみ惜しみ吸ってました。吸う事自体は禁じられていないので、ホテルの部屋には灰皿がありました。写真はティンプーのホテルです。

 部屋のTVみてると、「真の友達ならタバコを吸うのをやめさせよう」みたいな政府広報が流れてました。
かわいいカノジョから「タバコなんて止めて」とすがられる男。しかし、止められない。そこに表れる「真の友人」。そいつの説得で、オトコはタバコ(インドのWillisだった)を川に投げ捨て、カノジョの元へ、てな展開でした。まぁ、タバコくらいいじゃんか、ダメなのかぁ!

私は帰路、パロを出て、バンコクに着いてそのまま免税店に駆け込み、タバコ買って、それまでの分を取り返そうと空港で立て続けに吸って、さすがに気持ち悪くなりました。自由の甘美さとともにある苦しみ・痛み、とは言うまい。
あーあ、でもタバコ控えようかな。

(追記)この話は今日、1/30の産経新聞にもでてました。

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2005.01.29

05年2月期のちべものTV

2月期のちべものTV番組予定。
再放送も含みます。
TV雑誌をざっとみて、それらしきものをピック・アップしました。
見てみたらチベットの”ち”の字もないかもしれませんが、それはご容赦。
下線がついていれば関連リンクに飛びます。

月末の3連発は注目でしょうか。
雲南、四川(カム)、ブータンです。


02.01(火) 23:00-24:00 BS-i
神々の詩”ヒマラヤ 大氷河にきらめく小さな生命”(再放送)

02.01(火)26:28-27:23 フジテレビ
NON-FIX、”男一代菩薩道 インド 仏教界の頂点に立つ男”
これは明らかにチベットものじゃないですが、スゴそうで。
佐々井秀嶺(69歳)、インド名アーリア・ナーガルジュンは、インドの仏教徒が最も尊敬する僧侶である。昨年、インド政府が代表を任命する少数委員会の仏教代表に選ばれ、インド仏教の世界で名実ともにその象徴として活躍している。

02.05(土)18:00-19;00 BS朝日
秘境!雲南音楽紀行ー少数民族が残したアジアのDNA(再放送)
舞台は麗江のようです。

02.06(日)15:00-16:00 NHK-Hi
中国の絶景”シャングリラ”(再放送)

02.09(水)23:00-24:00 BS-i
神々の詩”ヒマラヤ 天空の園 ガンジスの源流”(再放送)

02.13(日)14:00-15:00 TBS
吉村作治 インド大紀行 ガンジス 祈りと永遠の2500km

02.18(金)09:30-11:30 NHK-HI
追跡! 伝説の動物 知られざるブータンの大自然(再放送)

02.20(日) 24:42-27:42 NHK総合
世界大自然紀行 ヒマラヤ・ブータン(上記時間帯の一部)

02.24(木)22:00-23:00 NHK-BS1
BS世界のドキュメンタリー”ラスト・キャラバン・雲南チベット

02.26(土)16:00-17:00 テレビ朝日
アジアへGo 中国の幻の桃源郷シャングリラ伝説
行き先はリタン、稲城、亜丁あたりのようです。

02.27(日)16:05-17:25 フジテレビ
LOVE ASIA幸せ満足度世界一の国・ブータン王国

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2005.01.24

ちべものTV

1/27(木) 25:00-25:45 NHK総合
地球・ふしぎ大自然「天空の崖をユキヒョウが駆ける
25日の再放送。

1/26(水)  20:00-22:00 NHKハイビジョン
「 天空への道・茶馬古道の人々」

過去数回再放送されてたものです。

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清水早苗写真展”タシショウ”に行く。

CIMG0193
23日(日)に行きました。銀座のいいところが会場でもあり、結構な人出でした。
公式サイトはこちら。 

写真はレーの街並み、ラダックの人たち、ティクセ・ゴンパヘミス・ゴンパのツェチュでした。

それぞれGoogleの画像検索にリンクしました。

ラダックの聖俗の人たちの写真が中心。
27日(木)まで。

ラダックはいいところですが、シーズンは飛行機の予約が取りにくく、また、欠航や天候で着陸できないで引き返すとかいう事態が割とあるようで、帰ってこないといけない日が決まっている勤め人には厳しいところで。

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2005.01.23

ちべものダイアリー

【TV】

1/24(月) 12:15-13:45 再放送で26:00-27:30  NHK-Hi
「体感!世界の祭 開祖さまを迎える仮面の舞 ブータン・パロのツェチュ」

過去何回も再放送されているものです。

今週のちべものTV番組は1/19記事もご参照のほど。

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2005.01.22

ちべ者お蔵だしーチベットの秘宝展

 友情リンクである長田幸康さんの「チベット式」でチベット温故知新企画があります。
 勝手に便乗企画。明治から戦前までの潜入モノは多数ありますので、こちらは戦後でのチベットとの関係を断片的にと。

日本の古本屋で過去のチベット関係の書籍などを衝動的大人買いしたことがありまして。それからご紹介。

「チベットの秘宝展」(発行 読売新聞社 1967年9月)

hihou

 ダライ・ラマ法王におかれては今年4月に来日されることになってますが、初来日は35年以上も前の1967年でした。

Niftyの新聞検索だと80年代からしかDB化されてなくて、この時代の記事は収録されていないので、実際の旅程は判らないままですが、Googleで検索したところ浄土宗新聞の記事が見つかりました。
対中国関係はともかく、仏教界内部での思想的反対ってどんなのでしょう?

 で、そこでも紹介されている東京、大阪、静岡の松坂屋デパートで開催した「チベット秘宝展」のカタログ。

 主催は読売新聞。後援は亡命政府のチベット・ハウス・ミュージアム。ダライ・ラマ法王のメッセージ付。 
 タンカや仏像などの展示品の写真とか解説がメインです。
 
 冒頭の読売新聞社の挨拶は、

「チベットの古美術は、そのきびしい地理的条件にはばまれて、なかば、神秘的な伝説としてのみ語られ、真実の姿は、久しく外界に紹介されずにおりましたが、このたび、読売新聞社は、チベット仏教教主、ダライ・ラマ法王の特別のご好意により、1600年にわたって伝えられた、法王秘蔵の文化財、200余点を、海外初公開として、わが国に紹介いたすことになりました。」
 
 ダライ・ラマ法王のメッセージは↓。写真をクリックすると読める大きさになります。
message1 
 で、この展覧会ですが、平穏無事には終わらなかったようです。この展覧会が開かれた1967年は中国では文化大革命がまっさかり。で、外国人は米国帝国主義かソ連修正主義の手先とみなされていた時代でした。

 この秘宝展の開催を、中国側は反中国的活動であるとして、読売新聞記者の北京常駐資格を取り消し、滞在期限切れとなり帰国していた読売系列の日本テレビ放送網(民放代表)の後任記者への入国許可も下りませんでした。その後詫びを入れて解決したようですが。
 (出所:小野 貴樹「日本の中国報道」http://web.sfc.keio.ac.jp/~takaki/hpdata/project.htm)

 ま、当時は中国報道といっても、せいぜい毛沢東がどうしたこうしたあたりでしょうし、日本との経済関係はほぼゼロでしたが、今はそうも言ってられないし。
 こういう風に大新聞が亡命政府サイドと組んでイベント開催というのはありえないでしょうね。

このカタログ、Googleで検索するといくつかの古本屋で在庫があってネット販売してるようです。
てことは結構盛況だったのかな。

 

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2005.01.19

ちべものダイアリー

【TV】

01/26(水)  20:00-22:00 NHKハイビジョン
「 天空への道・茶馬古道の人々」

過去数回再放送されてたものです。


01/24(月) 20:00-20:45 NHK総合
地球・ふしぎ大自然「天空の崖をユキヒョウが駆ける・ヒマラヤ・標高5000メートル」
舞台はインドのラダック。

ま、私はラダックならマーモット派ですが。
(同じNHKの番組で過去やったラダックもののページに飛びます。)

1/24(月)2:07~4:00 NHK総合
大黄河紀行 「少数民族の天地」
黄河源流のチベットも出てきます。

これまでイヤになるくらい(笑)、この時間帯に再放送されているNHK深夜のスクリーンセーバー的番組。
ま、地震とかの大ゴトがあったら速攻ニュースに切り替えられるようにするためだそうですが。

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2005.01.16

青海-チベット鉄道

07年開通予定の青海-チベット鉄道(青蔵鉄道)ですが、西蔵信息中心に芦春房・青蔵鉄道建設指揮部総指揮長(要は工事で一番エラい人)のインタビュー記事がありました

・最初は1日4本の貨物列車のみ運行
・当初は乗客・貨物混載の車両6本のみ。ただし、乗客の需要があればハイクラスの旅游車両を2~4本運行するかもしれない。
・このハイクラス列車は完全密封で加圧・酸素供給設備を備えて車内は平地と同じような環境となり、車内ではチベット民族のパフォーマンスやカラオケ、高級な食事や完全な医療を提供する。
ついでに有名な観光スポットでは列車を止めて、乗客は観光・写真撮影もできるようにする。

まぁ、計画というよりは願望に近いのかも知れません。
カラオケ歌ってラサ入りてのも、ナンというか。

雨季や冬季の保線はどうなるのか。今のゴルムドーラサの道路でも結構雨による土砂崩れや雪で不通になったりしますが。


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2005.01.14

ちべもの関係ダイアリー

【TV】
1/15(土)22:00~23:55 BS朝日
ヒマラヤ最後のロマン雪男の謎に挑む!イエティ捜索隊66日間の全記録 特別完全版

昨年の正月くらいに放映したものを再度放送でしょう。
舞台はネパールでした。たしかマオイストにカネを払ってロケしたというのもあったかと。

1/16(日)  27:45-28:00 NHK総合
ヒマラヤ高峰

深夜のスクリーンセイバー的な穴埋め番組でしょう。
すげーマニアの方に(笑)

【書籍】
1/28(金) 「地球の歩き方 ブータン」改訂版発売
ブータンの唯一の日本語ガイドブック。
2年に1回位のペースの改定ですが、がんばって欲しいものです。

ちなみに、現在世界で一番新しくて詳しいと思われるブータンのガイドブックは、英国のFootprintから出ているGyume DorjeのBhutanでしょう。
Bhutan1e_Thumb

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2005.01.12

ちべものTV-「絶景の楽園Vol1 」

【データ】
01/12(水) 18:55-19:54 TBS
絶景の楽園Vol1
宮本亜門がチベット神が住まう天空の湖へ

相当久しぶりの民放の地上波でのチベット本土もの。

しかし、どうも02年5月の「道浪漫」の第1回目第2回目の総集編ってあたりでないかと。

見逃した方、そういうことで、リンク先の写真をごらんになれば雰囲気は少なくともわかります。

宮本亜門がラサのモモ屋でたまたま隣り合わせたジョカンの僧侶テンジン君とナムツォにいくというストーリーだけど、しかし、「中国」での外国メディアの取材で現地で偶然に出会ったヒトと取材旅行に行くなんてことが簡単にできるのかという疑問はありますけどー。

まぁ、いいか!そのあたりの苦労話はうまく編集したってことでしょうか。

ラサ川のほとりでのやりとり。
宮本「チベットの人は魚を食べないっていうけどホント?」
テンジン「ほとんどの人は食べません。魚の命を犠牲にしたくないからです」(画面でのキャプション)
ナレーション「命の尊厳、その意味を知ることも、またチベットの旅なのかもしれません」

確かにね。
ナムツォも絶景でした。
まだ行ったことないので、楽しめました。

あと、僧侶が聖地であるナムツォに行くのに、テンジン君は僧衣じゃなくてベースボールキャップにジャンパー姿でした。僧侶はいつも僧衣で俗服なんて着るのかなぁ、というのが疑問としてあるんですが。
戒律の問題はないのかなぁ。
お坊さんのオフタイムの格好ってどうなのかな。

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2005.01.11

ラサーカトマンズ直通バス開通

今日の西蔵信息中心に掲載されてました。(漢語です)

今年5月から開通予定。
ルートはラサーヤンパーチェンーシガツェーラツェーニャラムーザンムーーカトマンズ。

ネパール側の情報(こっちは英語)だと、中国、ネパール側ともそれぞれ2台のバスを運行。
片道はFirst Class70ドル、Standard60ドル、コーチ50ドル。

バスは2台で座席クラスが3つてのは・・・。
1台のバスで座席が3つに分かれてるんでしょうか?

ラサから出るほうはともかく、ネパールから入るほうで使うのはビザの制限もあって難しいかも。

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2005.01.10

はじめまして

bhutannekoBlogデビューします。

写真は今年正月に行ったブータンのティンプー郊外のCheriゴンパでのネコ。
(写真をクリックすると少しだけ大きくなります。全景写真も)

cheri穏やかなひととき。
今年はこういう年でありますように。

ごあいさつに代えて。


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