TV:「新シルクロード 第7集 青海・天空をゆく」
番組の宣伝では、
青海省の省都・西寧(せいねい)から広大なツアイダム盆地に入り、青海湖を経て西に進み、アルチン山脈を越えてタクラマカン砂漠の西域南道・米蘭(ミーラン)に至る青海の道は、平均標高が3500メートルを越える「天空のシルクロード」
既にNHK-Hiで12日(月)に先行放送されてます。てことで、事前視聴ガイドでも。
○最初に
チベットについて、昔は中国サイドからは吐蕃(とばん)と呼ばれてました。”とばん”が今のTibetの語源になったと聞いた気がしますが、出典は忘れました(^^;。
で、その吐蕃と青海省の覇権を争っていたのが吐谷渾。
○最初は青海省西寧。それから青海湖へ。
青海湖が唐と吐蕃(チベット)の対立の場であり、そこに文成公主が唐から吐蕃へ政略結婚させられたことになります。
で、番組では文成公主により「チベットに初めて仏教がもたらされたと伝えられています」と言ってます。
田中公明「活仏たちのチベット―ダライ・ラマとカルマパ」(春秋社)によれば、チベットに最初に仏教が伝来したのは、文成公主が結婚していたソンツェン・ガンポ王(?~649)の5代前の王様の時代なんだそうですが。
現在の中国では、政治的視点から文成公主が中国本土との架け橋となり、チベットに何でもかんでも持ってきた、みたいに高くもちあげるみたいです。最近のチベットのラサの観光ガイドでは文成公主を「初めての来蔵幹部だ」と説明してるんだとか。
(参照:シンジルト「チベット高原学会の会場外にみるチベット社会の素顔」)
○青海湖を抜けて都蘭(海西モンゴル族・チベット族自治州)
村人はたたりをおそれて誰も近づかない古墳(熱水大墓)があるというので、そこに行くんですが、中国の観光ガイド(「青海」(中国大百科全書出版社、2004)では「熱水吐蕃墓葬群」という項目があって、ばっちり行き方も書いてあります。街からジープのチャーターで150元。観光シーズンには管理人がいて、入場料10元。管理人のガイド付きなんだそうです。
○ゴルムドからさらに西へ
このあたりはモンゴル族の小さな村が点在。チベットでおなじみの木も生えていない、厳しい山みちをひたすらうねうねクルマが行きます。
てことで、チベットの雰囲気があるのは前半くらいでした。
地図は国立情報学研究所がこの番組と連動して掲載している「貴重書で綴るシルクロード」の青海部分に掲載されているものです。かなりマニアックですが。こちらに。
で、上記でリンクしたシンジルト氏(一橋大学社会学部)は番組の監修者として、最後に名前が出てました。モンゴル人で、青海省のモンゴル族の研究をされている方のようです。
上記リンク先の「チベット高原学会の・・・・」は、学会のエクスカーションでラサから西チベットに向かった際、川にはまったランクルの処理をめぐっての漢族とチベット族のメンタリィーを考察した秀逸な論考でした。
私なら、「あーやっぱり漢人とチベット人って仲悪いよな~」で終わってしまうところですが。
こちらもじっくり御覧いただければと。
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Comments
いやーシルクロード、期待以上^^;の内容でした。
「チベット式」でもネタにさせてもらいます。
チベットネタ以外にも、
「鬼」は鬼じゃないだろ、と思うんですが・・・
Posted by: 長田幸康 | 2005.09.19 03:17 PM
「鬼」は漢語では「幽霊、亡霊」。あと「人の蔑称」とかも。
戦争中の日本兵を「日本鬼子」とかも言うし。
ツッコミ待ってます(^^;。
Posted by: ちべ者(管理人) | 2005.09.19 04:57 PM