中国の国家指導者が欧米に行くと、チベット支援団体がデモをやったりします
1999年10月の江沢民国家主席欧州訪問とか(記事はこちら)、2005年11月に胡錦濤国家主席が英国に行った際にもそうでした(記事はこちらとか)。
今月下旬に、中国の胡錦濤国家主席がアメリカを訪問することになってます。そこで、チベット亡命政府のトップ(Kalon Tripa)であるサムドン・リンポチェ(写真)から、アメリカやカナダのチベット人および支援団体に対して胡錦濤国家主席の訪米中に抗議活動を行わないようにとの要請が行われました。
これは、第1の理由としては、現在進行中の中国との対話プロセスに悪影響を与えないようにということ(具体的にはryoheiさんのiTibetのこちらとか)。
第2の理由としては、ちょうど同じ時期にダライ・ラマ法王もアメリカにいる予定である(4月末から南米訪問が予定されているため、トランジットでしょうか)ので、法王に困惑を与えないように、ということのようです。
昨年の胡錦濤の欧州訪問の際の抗議行動のせいで、中国ーチベット亡命政府の対話が3ヶ月停止されたことがあったそうです。
このせいか、今年3月10日のダライ・ラマ法王のチベット蜂起47周年の声明でも
”チベット中央行政府のカシャック(内閣)は、亡命チベット人社会と国際社会の支援者の皆様に向けて、対話のための良好な環境づくりに尽力するよう、何度も呼びかけてきました。私たちは、中国・チベット問題の解決に欠かすことのできない現在の対話プロセスを成功させるためには、いかなる努力も惜しまないことを、強く申し上げたいと思います。また、私は、カシャック(内閣)のアピールに基づいて、すべてのチベット人がこのアピールを心に留めてくれるよう強くお願いしたいと思います。
また、チベットを支援してくださる皆様や、チベット人に同情を寄せてくださる皆様にも、同じことをお願いしたいと思います。”
というくだりがあり、今回の亡命政府の呼びかけでも、もし、抗議活動が行われたとしたら、ダライ・ラマ法王のこのような指示を留意もしないし、実行もしないという印象を対外的に与えることになる、としています。
今年、ダライ・ラマ法王が毛皮を着るのは自然保護の観点からやめようと述べたところ、それがあっという間に中国域内のチベット文化圏に広まり、各地で毛皮を燃やす集会が行われています(記事はこちら)。
毛皮を燃やすのは、形を変えたダライ・ラマ法王への支援表明と中国政府への抗議活動という見方もあります。
中国との対話進展を望む立場からの、ダライ・ラマ法王も含めたチベット亡命政府の胡錦濤への配慮がどこまで徹底されるのか。2005年9月の胡錦濤国家主席訪米の際にも同様の要請が出されていましたが、同年の欧州訪問では効果がなかったということでしょうか。
原文はこちら(英語)
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