【改訂履歴】
3/15の11:30にオリジナル記事を掲載しました。
3/15 23:50 加筆 3/14の記述を追加しました。
既に大きく報道されているように、3月10日にラサでの僧侶によるデモ行進が行われ、それ以降連日の抗議行動、ひいてはラサ市内では治安部隊の投入や商店の焼き討ちなどに発展。1989年6月の天安門事件以降過去20年間で最大の騒動という見方も出ています。さらにはチベットで言えば1989年3月の戒厳令施行以来の最大の騒動でしょう。
さらに、今回の抗議行動については、ラサのみならず、チベット文化圏である青海省や甘肅省の寺院でも同時多発的に抗議活動が行われているというのも特徴かと。
ここでは、ネットで流れている各種情報を時系列的に整理しておきます。
一番参考にしたのはインド・ダラムサラにあるTibetan Centre for Human Rights and Democracy(TCHRD)の3月14日付記者発表です。原文はこちら。
その他、アメリカ政府が補助金を出資しているRadio Free Asia(RFA)の情報も入れました。
随時情報を入れて改訂します(胸が痛むんで、やりたくはないけど・・・・)
3月10日
【ラサの動き】
○この日の夕方、ラサのデプン寺の僧侶約300人がラサのバルコルで平和デモ行進を計画したが、デプン寺からラサ市内に行く途中で多数の武装警察に阻まれ、指導者2,3人の僧侶が逮捕された模様。さらに、デプン寺の周辺には多数の武装警察官が配備された。
○15人の僧侶と2人の一般人が、バルコルの周りで平和的デモ行進を行い、チベット独立のスローガンを叫び、チベットの国旗を掲げ、パンフレットを配ったが、即座に公安に逮捕された。この僧侶はセラ寺に修行に来ていたカムやアムドの僧侶で、2人の一般人はカム出身らしい。
【その他地域の動き】
○青海省海南チベット自治州のマンラ(貴南)のルツァン寺(旅行人ノートチベット第4版だとP197)の僧侶137人と一般人200人が集会を行うとしたところ、政府により解散させられた。この後、「ダライ・ラマ万歳」、「ダライ・ラマはチベットに戻るべきだ」と叫ぶ騒ぎになった。
○青海省海東地区の化隆県(Bayan)のDitsa寺で、約70人の僧侶がダライ・ラマ法王の写真を掲げて、チベット独立のスローガンを叫び、サンソルの祈祷を実施。約400人の人が集まった。
○四川省カンゼチベット自治州のカンゼでチベット独立のパンフレットが街中に貼られた。
3月11日
○前日、セラ寺の僧侶がデモにより逮捕されたことに抗議するとともに、チベット独立を叫んで、セラ寺の僧侶数百人がデモ行進を行ったところ、2000人の中国武装警察が催涙弾を発射。
○武装警察がデプン寺およびセラ寺を封鎖。人の出入を禁止
○ラサ市政府は職員に対して、即座に業務に復帰することを命じるとともに、職場を離れることを禁止。チベット大学でも学生の移動を禁止。
○ガンデン寺でも抗議活動があり、同日午後から武装警察が寺院を封鎖。現時点(3/14)でも外部との連絡が取れず。
3月12日
○ラサの西郊外のチュゼン尼僧院の尼100人が平和的デモ行進をバルコルで行うが、武装警察に阻止され、寺に戻される。
○ラサ市の居民委員会(町内会管理機構、みたいなものです)は、チベット人居住地域の各家々を調べて、登録がない(ラサの寺院の在籍の登録がないということでしょうか)、僧侶や尼僧が不法に潜んでいないか、調べるよう指示された(RFA 3/12)
○デプン寺の僧侶2人が絶望のあまり、自分の胸、手、手首を刺して自殺を図るとの情報また、セラ寺では、10日の抗議行動で逮捕された仲間の釈放を求めて、断食・不眠のハンガーストライキを行うとの情報(RFA 3/13)
3月13日
○中国外交部秦剛報道官は、外国メディアの今回のラサの騒乱についての質問に対して「ダライ・ラマ一派による計画的な政治的陰謀で、チベットを分離させ、チベット人の平穏で団結した日常生活を危険に陥れるもの」と非難。同時に、各寺院の民主管理員会が働いたおかげで、目下のラサの情勢は安定しているとも発言。どこがやねん!。(記事はこちら)
3月14日
○ラサのラモチェ寺(小昭寺)でも抗議活動が行われ、武装警察が包囲し、人の出入を禁止。
○武装警察と僧侶および一般人が衝突(この時点で、これまで僧侶中心のデモが一般市民を巻き込んだ形で拡大との見方)。車両や店に放火。
○暴動は朝10時頃から始まり、夕方の早い時間にはラサの道路は通行できなくなり、建物の中で仕事をしていた人たちは出るに出られなくなってしまった。
ラサのチベット人によれば、手にカタ(チベット伝統の白いスカーフ)を持ち、「チベットに自由を」と叫んで通りを走り、また、漢民族の店や中国に関係があるものは何でも放火し破壊した。この日の早い時間には警察も目立った動きを見せなかったこともあり、抗議活動がピークに「なった。
また、ラサのある漢族によると、外出禁止令が13時に発せられ、大量の武装警察が動員された15:30頃には抗議活動は収束した。(RFA3/14 記事はこちら)
○ラサ市民の間で水道に毒が投入されたとの噂が広がったため、ラサの水道会社がそのような事実はないと発表(連合早報ネット 記事はこちら)
○ネパールからラサに向かっていた西洋人旅行者によると、この日、ネパールから陸路でギャンツェまでは来たが、ガイドから、大規模な衝突や火災や死者発生のため、ラサには入れない、中国政府は全ての旅行代理店に対して、扱っている旅行者について、(既にラサにいる者が)ラサを離れないように、また(これから来る予定の者を)ラサに入れないように強制していると伝えられ、直接ラサの空港に向かうことにした、とのこと(Lonely Planetの掲示板。こちら)
(続く。早く終わって欲しいけど・・・・)
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